雑工体験記~コンクリ運び編

「あのWって職人きっついから嫌だわ〜すぐ怒鳴るんだもん」

建物の基礎部分の解体工事。ゆるゆるから会社まで一時間。会社から現場まで片道2時間。朝4:20にゆるゆるを出て、帰宅が20:30。

仕事内容は新しく建物を建てる準備として、前の建物の基礎部分のコンクリートの柱を元請けの解体職人がひたすらドリルでぶっ壊したコンクリートの塊のガラを、ひたすら拾い集め、袋に入れるという作業だ。

キツイ、汚い、そして危ない。コンクリートを解体するのにアルカリ溶液を使うために、長時間皮膚にさらされると、皮膚がただれる。コンクリートのガラで打撲や骨折もする。文字通り命懸け。しかし給与は安い。

現場近くの駐車場で車で待機している中で漂う悲壮感。ただでさえ鬼キツイのに、さらに厳しい職人の手元作業なぞしたくない。30代中盤のデブののび太くんと60代中盤のじいさん2人。1回wと仕事したことのある他3人はwの手元作業をしたくないと言い合っていた。

「じゃあ俺がwさんの手元作業しますね」
デブのび太君はそんなに要領良くないし、じいさん方では体力的にできない。必然的に俺がやるしかない。

班長として、穏やかな口調で指を挟まないようになど注意事項を説明するwは動物で例えるならヘビだ。高身長で滑るような細目で、綺麗に整えているロン毛の茶髪。

「優しそうじゃないですか?」理不尽極まりない人だと思ったら全然そうでもないので爺さん同僚に尋ねると。
「仕事になると豹変するんだよ」と返答だった。

「なにやってんだー!バールはこう使うんだー!」
「何してんだー!そこのガラ拾えって言っただろ〜!」
「危ねえだろ!手を退けろ〜!」

wはうるさくて馬鹿でかいドリルを自由自在に操り、テキパキとコンクリートの支柱を人が持てるサイズまで砕いていく。どんどんガラが溜まるが、それを搬出するのには、全力全開フルスロットルで動き続けないといけない。安全を確保した上で。

コンクリートガラはとにかく重いし、粉塵で視界は何もみえない。眼鏡は曇るし。床には水がたまっているのでドロだらけ。マスクしようが入り込む粉塵にゲホゲホ。空気でやられて、黄色いタンを吐き出す。

頑張るしかない。仕事を楽しむぞ!とバリバリ動く。とにかく、wの素人目でも分かる優秀なスピードに追いつこうと必死。

「大変だろ〜。俺も嫌なんだよ」
休憩中のwは優しくなる。
ただただ必死で、こなしていたらあっという間に終業時間の17時。

1日目が終わると、全員へとへと。帰りの車内は、不満大会。後ろ向きの渦がとぐろを巻いていて、容易に気持ちが吸い込まれそうになる。

わたしには怒られる事よりも、不満の渦に吸い込まれるほうが怖かった。後ろ向きのエネルギーは、何もしなくてよいので楽だから。

雑草みたいな雑工。けちょんけちょんにされながらもなお、太陽を向いて、伸びていきたい。

ほぼ一年前だけど、身体動かしているお陰かすごく元気。やたらポジティブ。

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